大衆から個人への移り変わり
居酒屋というリーズナブルな価格でお酒を飲むことができ、簡単な料理も出してくれる店が登場したときは、サラリーマンの男性を中心に大いに利用され始めました。
その後、サラリーマン男性が部下を引き連れて飲みに行ったり、彼氏が彼女を連れていくなどして、徐々に女性たちの利用も増えていきます。
とはいえ、女性が何人か集まって、職場の飲み会などで利用するのならともかく、友達同士2人で居酒屋を利用するといった選択肢は、女性にはなかなか定着しませんでした。
また、デートでの夕食に居酒屋に連れていかれてがっかりという女性も多かったのです。
それほどに、居酒屋とはオジサマたちの社交場というイメージが強かったと言えます。
けれど、だんだんと大衆居酒屋が増えるにつれてお客さんの奪い合いが始まり、何か個性を打ち出さなければ同業他社に勝てないということから、他の店にはない魅力的な特徴を持たせた居酒屋が登場し始めます。
その先駆けとしての魅力が、個室だったのではないでしょうか。
個室があるなら行くという人が増加
デートの食事の店が大衆居酒屋であっても、一杯飲みに来たサラリーマンや、親睦会であろうと思われるワイワイ騒いでいるテーブルとは一線を画すことが出来る個室があるなら、行ってもいいという女性が増えたのです。
それというのも、居酒屋はリーズナブルな価格でお酒と料理が楽しめますし、料理の質もかなりよく、揚げたて熱々の唐揚げや、新鮮な刺身の盛り合わせなど、さまざまなジャンルの料理を好きに注文できるというスタイル自体は、気に入っている女性も多かったからです。
ただ、雰囲気がどうもと思っていたところへ、個室があると聞かされたら、それなら行ってもいいということになったのは、女性が求めていた条件がマッチしたからだと言えます。
少人数から大勢の集まりにも対応
昨今はさまざまな雰囲気の個室で、毎回気分を変えて楽しんでもらうことによって、何度も来店してもらおうということで、趣向を凝らした個室を用意する居酒屋も増えています。
カップルや友達同士など2人で利用できる個室ができると、今度は大勢で利用するケースでも、個室はないのかという希望が出てきました。
そのため、店の規模にもよりますが、2人、4人、さらには8人くらいまでや12人以上といった具合に、大きさの異なる個室を持つ居酒屋が飛躍的に増えたのです。
大勢が入れる個室は忘年会や新年会のシーズンには予約がなかなか取れないほどで、誰もが居酒屋を仲間内で楽しみたいという気持ちを持っていることがわかる、一番の変化と言えます。